「日本のこころ」の底ぢから
内容
「日本のこころ」とはいかなるものであるか。それをいかにとらえ、いかに育成すべきか。戦後教育とゆとり教育について振り返るとともに、日本人をして日本人たらしめる根本理念としての「日本のこころ」について考究する。
書評
「日本を消す教育」から「日本の見える教育」へ
日本の伝統や文化をもっと子どもたちに、という機連が高まってきている。新しい教育基本法にも、改訂された学習指導要領にも、そうした趣旨がうたわれている。そうした折も折、上寺久雄著『「日本のこころ」の底ぢから』が刊行された。
副題の≪「日本を消す教育」から「日本の見える教育」へ≫が、この本の、言わんとするところを如実に語っていると言ってよい。
思い起こせば63年前、日本は太平洋戦争に敗れ、6年近く占領された。そして、日本の伝統や文化は否定され、子どもたちの目に届き難いものとなった。この影響は、現在においてもなお色濃く残っている。
著書は、昭和15(1940)年に師範学校を卒業し、小学校の教団に短期間ながら立ったのちに召集され、敗戦時には陸軍大尉であった。そして戦後は大学・大学院で学び直し、大学教授として、まだ兵庫教育大学の学長として、教育界に貢献された。
「日本絶対」と「日本否定」という相反する世界に見多く経験をした方だからこそ、「日本の心」で生き抜こう、との主張が説得力を持つ。
多くの人に読んでいただきたい本である。
(梶田叡一・兵庫教育大学長)
平成20年10月13日付 日本教育新聞に掲載
